ささやかな終末

小説がすきです。

私の読書スタイル ~社会人なりたて編~

実は先月下旬から社会人になって暦通りに働いているのだけれど、読書スタイルに大きく変化が起きた。Twitterで「ブログで読んでみたい記事はありますか?」とお題を募集してみたところ、「読書環境について知りたいです」「読書スタイルが気になります!」と言ってくださった方がいらっしゃったので、変化を記録する意味も込めて、今日は読書についていろいろなことを書いてみる。

 

 

ある日の読書 ~平日編~

朝、もっと寝ていたい気持ちを我慢して最寄りの駅に向かう。電車の中は空いてこそいないが身動きが取れないほど混んでいるというわけでもない。なので私は本を読むことにしている。紙の本を読むことも、電子書籍を読むこともある。今は2か月99円のセールを利用してkindleunlimitedに加入していて、電子書籍の割合が高い。

 

平日に読む本の選び方には、主に2点のこだわりがある。1つはできるだけ読みやすそうな本を選ぶこと。ライトノベルライト文芸は、理解に時間を要する文章が使われていなかったり、キャッチーな登場人物に癒されることができたりするため、多少疲れていても読むことができる。また、一般文芸の作品を読む場合は、短編集や連作集を選ぶということも意識している。そう長く電車に乗っているわけではないので、読書はどうしても途中で中断されてしまうのだけれど、その場合に「今いいところなのに!」と思わされる回数が、長編でないものを選ぶと格段に減る。以上2つにこだわることで、今のところ平日にも楽しく読書ができている。

 

会社に着いてからも、始業までの時間や昼休みに読書をしている。移動時間や隙間時間にも読書ができるようになったということが、社会人になってからの最大の変化である。それまでの私はとにかく本に没頭したいと思っていて、自分のベッドの上で長く時間の取れるときしか読書をしていなかったのだけれど、読書時間を確保するために工夫してみたら、平日にも案外長く本が読めるようになった。時には長い信号の待ち時間にまで本を読み進めることもある(歩きながらは絶対にしないので安心してほしい)。

 

毎日駅前の書店の前を通ることができるようになったのも大きい。楽しみにしている本の発売日にはふらっと書店に入り、並びたてほやほやの新刊を購入できるようになった。「情報収集から実際に購入し読んで感想を記録するまでが読書である」とは私の持論を即興でまとめたものであるが、書店で新刊の台や棚を眺めるのは本当に心が落ち着く時間である。ほしいと思っている新刊がなくても寄ることもある。

 

行きの電車で20分、昼休みに40分、帰りの電車で20分、帰宅してからも寝るまでの時間に少し。こうすることで平日でも1時間半~2時間の読書タイムが取れるようになった。これは社会人になる前よりも極めて長い時間であり、そのことに私はとても満足している。働かなくても生きていけるようになりたいと常に思ってはいるものの、社会人として生きていくのもこれなら悪くないかなと考えている次第である。

 

ある日の読書 ~休日編~

朝、だいたい場合は寝すぎたことを後悔しながら起きる。長く寝ないと何もできない私は、常にショートスリーパーをうらやんでいる。午前中は布団の中でゴロゴロしたり平日にできなかった家のことをやったりしているので、読書はできない。朝食兼昼食を食べた後、13時くらいからがようやく読書の時間である。

 

休日には平日になかなか読めない本を読む。ロジックを理解するのに頭を使う本格ミステリであったり、とにかく分厚い小説だったり、あとは重要なところをメモしながら読みたいような本だったりする。楽しみにしていた新刊でもどうしても一気読みしたい本は、泣く泣く休日に回す。1日1冊では追い付かないので、2~3冊は読みたいと思っている。

 

実際には予定に沿って出かけることもあるため、「土日で6冊読めました!」とはなかなか行かない。だが基本的には2日の休みのうちどちらかは読書のために空けておきたい。楽しみな新刊は毎週のように発売され、物理的な本棚でも電子的な本棚でも、大量の未読本が私を待っているからである(待っていてくれている、よね?)。

 

ブログのお題は「お題箱」という匿名サービスで募集したのだが、読書スタイルの質問の中に「好きな飲み物が知りたい」という一文が入っていた。これを入れてくれた方はおそらく、読書中に私が何を飲んでいるか知りたいと思ってくださったのだと思う。期待に沿えず申し訳ないのだけれど、飲まず食わずでするのが私の読書である。布団の上に寝っ転がり、ひたすらページを追いかけていく。最長集中時間は『蜜蜂と遠雷』一気読みの5時間強である。

 

嗚呼、紅茶を片手にクッキーでもつまみながら優雅な読書タイムを送る人間であれば、もっと充実した回答ができたのだけれど……。読書時間関係なく好きな飲み物ということであれば、果物系の炭酸や甘いコーヒー系飲料が好きである。この情報要ったかな?

 

ある日の読書 ~読み始める前の選書編~

お題の中には「読む本の選び方を知りたい!」というものもあったので、ここにまとめてみる。まずは好きな作家さんの新刊を買って読む。以前はこれでかなりの読書スケジュールが埋まってしまっていたが、最近はそうでもない。次に、購入した積読の中から読みたい本を選ぶ。すべて読みたい本を買っているのに、その日の気分によっては読みたい本が本棚にないこともある。これは由々しき事態である。気分に合わない本を無理に読み進めてもよくないので、その場合は新たに本を購入する。電子書籍は家に居ながらにしてワンクリックで買い物ができるのでお財布に本当に優しくない。

 

普段はどんな本に興味を持っているか。ミステリの新作は気になることが多い。ただしすべてを読んでいるとさすがに破産してしまうので、Twitterのフォロワーさんが複数名読んでいてすごくおもしろそうな本や、おすすめしていただいた本を優先して読む。ライトノベルの新作もチェックしている。青春群像劇に弱く、その一語が宣伝文句に入っているとつい買ってしまうことが多い。

 

非ミステリの一般文芸は、読みたい本が多いのにまったく読めていない範囲だ。綺麗な表紙の本や、話題になっている本は読みたい本だらけである。本屋大賞のノミネート作品は絶対におもしろいのだからすべて読みたいのだけれど、毎年1~2冊しか読めていないことが多い。今年は『方舟』だけになってしまっている。

 

ずっと紙の本派だったのだけれど、収納場所と懐事情の問題から、電子書籍もよく読むようになった。たまに図書館に行って、気になっていた単行本を借りて読むこともある。電子で買ったときも図書館で借りたときも、とても気に入った本は紙で買うことにしている。去年だと『ナイフを胸に抱きしめて』や『青春ノ帝国』はそうした。

 

新作ばかりを読んでいるわけではなく、ずっと前に出た本も気になっているものをどんどん読む。気にしているうちに文庫化してしまったその本、Twitterのフォロワーさんが偏愛しているこの本、好きな作家さんが影響を受けていると思しきあの本。読みたい本は数えきれない。たとえ今このときに時間が止まって私だけが動ける状態になったとしても、10年は読む本に困らないだろう。それくらいこの世界は魅力的な本で溢れている。

 

質問の中には「併読する?」というものもあった。ついこの間まではまったくしなかったのだが、最近は結構するようになった。併読するときに気を付けていることは今のところあまり思い出せない。ただ1冊の本を読んでいる途中に他の本を読み始めるときは、そのジャンルを読む気分ではないが読書はしたいという気持ちになっているときなので、ジャンルは被らない。よって頭の中で登場人物やストーリーがごちゃまぜになってしまうことはほぼない。

 

ある日の読書 ~読んだ後の感想編~

最後は感想の書き方についてもまとめておく。私は1冊の本を読み終わった後、手書きの読書ノートに感想を書いていて、これは9年近く続けている習慣である。読み終わった瞬間の感情と思考をそのまま残しておけるように気を付けている。シャーペンで紙に文字を刻むことで、永遠になる気がする。

 

その後、Twitterに140字で感想を投稿する。言い足りなかったことを1~3個付け加えることが多い。読書メーターでもInstagramでも感想を書きたいのだが、現状あまり書けていない。そんな私が今年度力を入れていきたいと思っているのは、ブログでの長文感想だ。

 

最近思うようになったのだけれど、Twitterの140字も読書メーターの250文字も、言い表したいことを過不足なく書き込むには短すぎる。時代には逆行しているかもしれないけれど、私は自分だけにしか書けないことを長い文章をじっくりと書いていくことで見つけていきたい。誰にとっての意味がなくても、そんなものは願望が見せるまやかしだとしても、それが好きだから、楽しいから、胸を張って書いていきたい。

 

今回の記事では募集したお題をもとに自分の読書スタイルについて書いてみた。お題箱には他にも様々なお題が届き、「これはすぐにでも書こうと思っていた!」というものから「これは時間が必要だな」と思わされるものまで幅広く、大変うれしかった。時間はかかってもすべてのお題で記事を書きたいと思っているので、気長に待っていていただければ幸いである。この文章が誰かの参考や希望や、もしかしたらちょっとした楽しみになることを願って、ここで筆をおく。

 

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